H-1グランプリの10年をまとめた話題のムック本が発売されました。
それを記念して、10年間出場を続けた私がこの大会の魅力について改めて書き記しておきたいと思います。ハードベイトクレイジー誕生のお話です。
目次
H-1グランプリ1年目初戦から10年間ほぼフル参戦
東日本大震災の余波で、釣りに対しての自粛ムードがたちこめ、各地のボート屋さんが苦境に立たされていた2011年5月22日。復興支援の意味も込めて鈴木美津男さんが立ち上げた、記念すべき第1回目のH-1グランプリ初戦が行われました。
当時、牛久沼のローカル大会に出場し始めていた僕は本当に気軽な気持ちで参加をしました。初戦の参加人数を見返してみると35名。GW明けの時期の雨の中の釣りで、午後には牛久沼特有の風が吹き、帰着できない選手もでるなど荒れ模様のまさに船出となったのでした。
そこで優勝したのは、僕を牛久沼のローカル大会に誘ってくれた、いまや牛久沼の名物男ととなった越川選手!(フロッグの名手でもある先輩)その時の釣りがなんとも衝撃的で、痴虫の海馬と言う当時はなんとも奇妙奇天烈だと感じた(⁉)トップウォータールアーと鈴木美津男さんが作り出したラッキークラフト・利根スプラッシュでもって優勝をかっさらったのです。
それまで、ワームやジグの釣りを主体としていた自分にとってそれは驚きに満ちた試合だったと記憶しています。そもそも、大会でハードルアーを投げ込んでいる人も少なかった時代でした。
ハードルアーの力を釣り人たちが気付き、その効果が浸透し、今ではハードルアーを投げる人が10年前より多くなったと体感しています。その意味では、H-1グランプリの功績は大きいと言えるのではないでしょうか。
H-1グランプリ黎明期の思い出
初年度は、40人程度の小規模での大会で本当によく言う「アットホーム」な雰囲気に溢れていました。ですが、使用ルアーに縛りあり、レンタルボートでもって牛久沼・印旛沼・新利根川を転戦するスタイルは、トーナメンターでもない一介のサンデーアングラーにはとても刺激的でどっぷりとその魅力に惹きつけられてしまったのです。
そんな中、ファーストシーズンの年間を通じて優勝したのは伊藤巧選手でした。当時はまだ新入社員感の残る若者で「マルキューの伊藤くん」なんて呼んでいましたかね。
そんなタクミくん・・・いざ釣りとなると利根川で鍛えられたそのキャスティング技術・フォームやバス釣りに対する考え方は超一級品。「これは自分とは違う…別次元のバスアングラーだな…」と痛感させられたものです。
また、釣れなかったときや勝てなかったときの悔しがり方が自分とは明らかに違うモノがありました。その当時から、プロフェッショナルアングラーとしての片鱗を見ることができましたし、末席ながらも同じ土俵で戦えたのは良い思い出です。
プロ&アマ入り混じっての面白み
伊藤巧選手は、H-1が生んだスター選手のひとりといっても過言ではありません。
そしてその後のH-1グランプリには、有名アングラーの方々も次々と参戦してくれました。鈴木美津男さんが掲げる「アマチュアとバスプロが、同じ条件で一緒に戦える場所!」がH-1グランプリの設立理念でもあったのでこの経験は誰にも代えられないものがありました。
プロ戦でワンデー大会と言うのはなかなかないのですが、サンデーアングラーも参戦可能なワンデー大会と言うのもアマチュアが参加しやすい理由のひとつでした。
ちなみに、有名選手が出ていてもミーハーな気持ちにはならず「ぜってーに負けねぇ」雰囲気が出るのもH-グランプリならではであったりもします。
例えば相撲でプロの関取に素人の相撲取りが勝つのはほぼ難しいと思われますが、釣りはネイチャースポーツ。一般的スポーツより、ジャイアントキリングが起こりやすいと考えています。釣りほどプロ・アマ入り混じって本気でやり合って勝てるスポーツはないわけです。
(とはいえ、やっぱりプロは凄い。現実はなかなか勝てない。でもワンデーなら~~と夢と鼻の穴を膨らませている。)
H-1グランプリのひとつの絶頂でもあったと言える出来事と言えば、2013年のマスターズカップでは当時最強バスプロのスキートリースプロがエキシビジョンとは言え参戦したこと。
大きな体をアルミボートに乗せ、エレキオンリーで日本の小さなフィールドでクランクベイトを投げたのです。(スキート曰くこれはかなりの『クレイジー』だったようですが)
そこでスキートは5位に入賞しちゃうのがまたスゴイのですが、4位以上の方は「まぁ、おれはスキートリースに勝ってるからね~」と一生言えちゃう…そんな夢もH-1グランプリではかなえてくれる場所を用意してくれました。素晴らしい企画力ですよね!
ブログスタートのきっかけもH-1グランプリだった
そんな私はと言うと一介のアマチュアサンデーサラリーマンアングラー。何日間にも渡るロングプラクティスをすることもできず、週末に全力投球!そして玉砕!が続いたのですが…それを補完するべく始めたのがブログでした。
H-1グランプリでは試合後に表彰台に上った選手たちにロングインタビューをするのが恒例。(皆さんよくしゃべるw)その人たちのことばをメモし、普段は交流することのないアングラーに話をグイグイ聞きに行ったのでした。
哀しいかな表彰台に乗れなくても腐らずに、Basser誌のササキ記者兼選手とはよくとなりでメモをとったものです。幸いなことに多くの人に読んでもらえることができ、5年目以降のH-1グランプリに楽しく参戦できたのもこのブログのおかげだったかもしれません。特に転戦をするグランプリ形式の大会だけにこのブログは頭の整理とパターン構築のためにも今でも役立っています。
(過去のブログ記事は「ナマローブログ」で検索を。「ナマローブログ」「ナマローブログNEO」があります。)
ハードベイトが軸となるスタイルに
学生時代にバス釣りブームが社会現象的に巻き起こり、当時は、スプリットショットリグや常吉リグを始めとしたライトリグが全盛。
牛久沼で釣りをするようになってからも、テキサスリグやノーシンカーとフィネスや食わせの釣りが中心のアングラーでした。
巻き物(ハードベイト)はと言うと、朝方スタートしてしばらくは巻くものの釣れないと、とりあえずでワームを投げちゃう・・・そういったスタイルのバスアングラーでした。(もちろんその型が間違っているわけではないですが)
それがいまや、H-1グランプリに出場したことによって、巻き物を軸にサカナを探し、サカナを引っ張ってくる釣りがスタイルとなっています。
優勝はあるのか!?
第1回大会初戦の優勝を飾った越川さんは2019年6月30日(日)に行われた牛久沼戦にて2回目9年ぶりとなる優勝を勝ち取りました。
そして、私は40グラム差に泣き準優勝・2位でした。なお、2018年の牛久沼戦では3位…。
ですから、2020年の五輪イヤー・10年目の牛久沼戦で感動の初優勝を飾る…脚本が私のアタマの中にはあったのですが~~新型コロナの余波で2020シーズンはH-1グランプリが全戦キャンセルに。その脚本はまたの書き直しとなったのでした。
10年目の正直はなくなったけど、10シーズン目のH-1グランプリで果たして私は勝てるのか!?10年~~テンイヤーズ~~あれから10年も~~年もとりました。
今思えば、プロアングラーも少なかった創成時代に勝っていなきゃいけなかったですよね…とタラレバを言っていてもしょうがありません。
2020年は大変な1年となりましたが、2021年はまた、週末が待ちきれない日々が来ることを改めて願っています。サンデーアングラーの星を目指して!
そして、忘れてはならないのがトーナメントディレクター鈴木美津男さんや100名以上にまで膨れ上がった選手たちを取りまとめてくれているスタッフの皆さんの存在です。
大会・トーナメントである以上、勝負事でもあるH-1。わたしも釣りの最中はついムキになってしまうこともあったりして、時にやんちゃになってしまう大人たちを取り仕切ってくれるのは、ルール作りや安全に考慮した運営をしてくれている方々、各所ローカルアングラー、地域の人たちのおかげです。
10年間、ほんとうに楽しい大会をありがとうございます。
ハードベイト・ハードルアーに苦手意識のある人にこそ読んでほしい
と、ここまで私のH-1グランプリ10年についてざっくりと書きましたが・・・「やっぱりハードルアーは難しそう」と思っている人にこそ読んでほしいのがこの度2021年早春に発売された「H-1グランプリ完全読本」です。
ラッキークラフトさんが冠の大会であるにも関わらず、あらゆるメーカー・ブランドのハードルアーの使用や公表がH-1グランプリの特徴。
そのため、関東各地で行われた大会のウィニングルアーやメソッドが蓄積されています。その財産の一部がこのムック本で明らかにされています。
得てして、最新ルアーのプロモーションの場になってしまうことがあったりしますが(それも好きですけど)、このムック本はガチです。
牛久沼、印旛沼、新利根川、亀山湖、相模湖、津久井湖、将監長門川…関東のレンタルボートが借りることができるメジャーフィールドを攻略するんは必読な一冊と言えるでしょう。
10年の財産がザっと網羅できる~~こんな本はなかかな出てくることはありません。
「いや、H-1グランプリとか出たことないし~興味ないしぃ~」
と言うあなたにこそ読んでいただきたい。ハードルアーの魅力を知ってほしい。釣りの幅が広がるキッカケになる!と激推ししておきましょう。